一途な僕から鈍感な君へ
別にそれはいつもの事で気にしないが、
驚かせてしまって申し訳ないという気持ちはあった。
だから、落ち着いた議論をしようと思い、一息付いて座ろうとすれば、
驚いてこちらを見ていた人たちの間からグラウンドが見え、その隙間から見えた人と目が合った。
とても顔が整った…美少年と言われる彼…三井翼。
同じ学年だから彼の存在は知っている。
因みに私たちは1年生だ。
そんな彼の口元が微かに動いた気がした。
さっきから女子の声援が異様に多いと思ったら、彼が競技に出ていたからなんだ。
私はそんな三次元の競技よりも、マナ様議論だ。
この秋谷にマナ様の良さを伝えなければ。
頭をマナ様に戻して、私は秋谷を見上げる。
そんな私に秋谷は、勝ち誇ったようにニヤリと笑っていた。