神隠しの杜



雨芭はカフェ彼岸花から一歩も動かず、机に突っ伏し眠り続ける。



熊野明日香は黄昏鏡真に寄り添ったまま、静かに雨芭を見つめる。



「鏡ちゃんの調合した彼岸花の毒で自殺しちゃったね。これでよかったの?」

「……さあね。どのみち、僕が今ここで止めたとしても彼は死を選ぶ。なら、よかったと思うべきかもしれない」

「そっかぁ」



二人が交わした会話はそれだけだった。






彼岸花の花言葉は、






悲しい思い出。






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