神隠しの杜



――あゆっち!



――歩!



遠くの方で懐かしい声がする。



自分の名前を必死に呼ぶ声が。



起きなければと思うのに、体が言う事を聞いてくれない。



自分の体なのに。



そもそも、一体何がどうなってるのか。思い出そうとするのに、まるで雲をつかむように記憶が逃げていく。



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