神隠しの杜
夢から覚めた頃にはもうすっかり紅茶は冷めていた。



黄昏鏡真はひどく穏やかな表情のまま紅茶を口に含み、そのまま眠るように息を引き取った。



今も聞こえるあの唄が。



あの綺麗な唄が頭から離れない。



永遠の悪夢という名の夢を見させてくれる禍々しい唄だったとしても、全然構わなかった。



例えありえない事や想像通りの事が起きても、すべては一抹の夢に過ぎないのだから。



繰り返し繰り返し紡がれる唄。






それは、まるで――――






神隠しが永遠に終わらない事を示唆する呪いの唄のようだった…………






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