神隠しの杜
それ以降道中誰も口を開かなかった。神社を離れひっそりと静まり返った夜の道は、あたりまえだが不気味以外の何物でもない。



足音が僅かに響くだけ。



雪芭の真意が読めない隼政は焦りと不安を感じていた。根拠はないが、雪芭が手の届かない遠くへ行ってしまったようなそんな感覚。



わからない、何を考えているのか。



隼政は胸騒ぎがした。



希望を持てとか諦めるなとか、そんな言葉を今かけられたら間違いなく殴って口論になる。隼政はもはや希望を持とうと思う事ができなくなっていた。



ただ目の前の出来事に従うだけの人形に過ぎない。



一歩。



また、一歩進む度心が砕け散る音がする。幻聴なのかもしれないが、精神はもうとうに限界でいつ崩壊するかわからなかった。



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