神隠しの杜
秋。



歩が収穫した山積みされたさつまいもで焼きいもパーティーをした。他にも歩が、きんつばや大学芋、さつまいもプリン、と言ったいろんなさつまいも料理を作ってくれた。ここにきて知ったが、歩の両親は仕事人間でほとんど家には帰らず、やる事がなかったから料理を覚え、知らないうちに家庭菜園にハマったとの事だった。隼政が男泣きをし、雪芭は若干引いていたが。



“オカルトの秋”と隼政が勝手に名づけ、無駄に多い隼政のオカルト知識が存分に語られた。歩は呆れていたが、雪芭はいつの間にオカルトに興味を持ったのか熱心に耳を傾けていた。歩にしたらオカルトの知識が一体何に役立つか一切不明で、始終微妙な顔つきをしていたが。



冬。



サンタクロースは妖怪だと夢のない事を言う隼政に、雪芭はいないと軽くあしらう。歩はつくづく夢のない子供だな、とため息をついた。歩からしたらサンタクロースは憧れの対象である。今も枕元に靴下を置いているのは内緒だ。



雪が積もった日にはインドアな三人も珍しく大騒ぎをした。一面真っ白な光景は圧巻で、雪合戦をしながら一緒に投稿。



いつも一緒だった。



いつも笑っていた。



一緒の高校に行こう、と約束した。






歩が神隠しに遭ったあの日までは普通だったのに――――






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