神隠しの杜
「あっ、ここだよ!ここ!鏡ちゃんがやってたカフェ」
やや興奮ぎみにいう熊野明日香。隼政は自分の世界に深く入り込んでいたせいで気づかなかったが、いつの間にか目的地にたどり着いていたらしい。
雪芭は相変わらずの無表情。歩の手はずっと雪芭と繋いだままだった。いい加減離せばいいのに、とも思ったが今の雪芭の心情が読めず無視するよか他なかった。
周りは彼岸花。
隼政は今季節じゃないよな、と思いながらも熊野明日香を先頭にカフェの中へ入る。店内は真っ暗だった。大体こんな夜遅くやっているカフェなんかない。知り合いのカフェだから中に入れたのか、隼政がそんな事を考えていると熊野明日香が明かりをつけにっこり笑う。
「ここは彼岸花だった鏡ちゃんがやってたお店なの。――雨ちゃんと鏡ちゃんが死んじゃった場所」
「……………………お前が殺したの?」
取り乱すわけでもなく冷静に雪芭が言った。その口調は冷たく、淡々としていた。
こんな雪芭を隼政は見た事がない。歩は戸惑いながら、雪芭を見つめている。静まり返った店内を壊すように、熊野明日香の突然笑いだす。
やや興奮ぎみにいう熊野明日香。隼政は自分の世界に深く入り込んでいたせいで気づかなかったが、いつの間にか目的地にたどり着いていたらしい。
雪芭は相変わらずの無表情。歩の手はずっと雪芭と繋いだままだった。いい加減離せばいいのに、とも思ったが今の雪芭の心情が読めず無視するよか他なかった。
周りは彼岸花。
隼政は今季節じゃないよな、と思いながらも熊野明日香を先頭にカフェの中へ入る。店内は真っ暗だった。大体こんな夜遅くやっているカフェなんかない。知り合いのカフェだから中に入れたのか、隼政がそんな事を考えていると熊野明日香が明かりをつけにっこり笑う。
「ここは彼岸花だった鏡ちゃんがやってたお店なの。――雨ちゃんと鏡ちゃんが死んじゃった場所」
「……………………お前が殺したの?」
取り乱すわけでもなく冷静に雪芭が言った。その口調は冷たく、淡々としていた。
こんな雪芭を隼政は見た事がない。歩は戸惑いながら、雪芭を見つめている。静まり返った店内を壊すように、熊野明日香の突然笑いだす。