神隠しの杜
【歩、隼政、雪芭編】ゼロ…終着点…
どうしてこんな結末になってしまったのだろう。
雪芭は最悪な結末という悲劇の中で、心の中で何度も繰り返す。
何がいけなかったのだろう。
歩と隼政の笑った顔が頭から離れない。友達を刺した記憶、感触がちゃんとあるのに、非現実のような気がした。
雪芭は酷く動揺し顔は青ざめていた。
「………………オレが、殺した?」
さっきまで絶叫していたとは思えないくらい、弱々しい声で呟く。
隼政は答えない。
いや、答えられなかった。友達に殺されそうになり、記憶のない友達が自分を庇い刺され……隼政は茫然と立ち尽くすしかなかった。
友達だった。
確かに友達だった。
「…………もう、友達でもなんでもないな。俺たち…………」
隼政の口から零れた言葉は雪芭の耳には届いておらず、ただ虚しく響く。