神隠しの杜
真っ暗な店内。



明かりも花も見当たらない。物が何一つなく、ここが本当に店かどうか怪しいと今さら思っても、もう遅い。



「……戻らなきゃ」



入れたのなら、出られるはずだ。そう思い足を踏み出そうとした瞬間、夕羅は思いとどまる。



店に入る前に見た看板になんと書いてあったか、今になって思い出す。






“後戻りは決してできません。覚悟がある方のみ、お入りください。――花屋神隠し店主より忠告”






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