神隠しの杜



「…………嘘でしょう」



本気で信じていなかった夕羅は顔色を変えた。大体こんな目立つ場所にあって、一体何の意味を持って、この店はあるのか。



どう考えてもこの状況は不自然かつ、理解し難いものだった。



その時、何も見えない暗闇の中でガタンと音がした。明るい場所で聞こえる音とは違い、恐怖を煽り何も見えない事がさらにじわじわと恐怖が増す。



夕羅は息をのむ。



その時、闇の中から声が聞こえた。



「神隠しの半人前だな、お前」



ばっと振り返ると、背後にいつの間にか少年が立っていた。緋色の髪と瞳が印象的な少年。



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