神隠しの杜



「夕人兄様……………………え?」



ズタズタに引き裂かれたベッドのシーツに、ボロボロの壁。



頭がついていかない。



穏やかで優しい兄様しか知らない。第一目が見えないはずなのに、どうして…………と、思わずよろけるとトンっと何かにぶつかる。



「目、治ったんだよ。緋色の髪をした男が治してくれて、夕羅が来る事も教えてくれた」

「…………緋色の髪をした、男…………」



まるで思考回路が狂ってしまったように、最悪な結末への思考が止まらない。



心臓が狂ったように騒ぎ立てる。



うるさい。



うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい…………






うるさいっ!!!






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