神隠しの杜
大好きな緋葉に否定された。



夕羅はちがう、と呟く。



「わたしの緋葉はそんな事、いわない……神隠しじゃなくなったら、わたしは何…………?わたしの“意味”を否定しないで、わたしは、わたしは神隠しよ!!!」



緋葉はただ哀しかった。



夕羅は緋葉に依存する事で自分を壊し保っていた。



夕羅の悲痛な声に緋葉は一片の涙を流した。



「……夕羅、還ろう。オレがずっと傍にいるから、もう誰にも、誰からも、夕羅を傷つけさせないから……一緒に還ろう?」

「……………ほんとう?」

「ああ」

「うん、緋葉と還る……」



夕羅は緋葉にしがみついて泣きじゃくる。まるで、小さな子供のように。



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