生前の君に捧ぐ、最初で最後の物語
「認められるまで書き続ける、それは約束ですか」
「そういうことですわ。ですが、わらわにも読ませてくださいね」
「もちろん。どの作品も読者第一号は貴女でいていただかないと」

あの時と同じように指切りをした。
その佐久子の指は少し冷えているように感じたのは、私の体温が高いからだろう。
雪の降る基督の生誕日。私と佐久子は友人となる。
この時の佐久子はまだ私ではなく、私の作品に恋をしたままであった。
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