身勝手な恋情【完結】
「ひよ」
「――はい」
「以前お前は、社長が恋なんてありえないって、言っていた」
言った。確かに言った。
もちろん想像つかないって言うのはあるけれど、どうせ自分のものにならないのなら、誰にも恋をしてほしくないと思ったから。好きな人の幸せを祈れないなんて、最低だけど……。
きっとそんな気持ちもばれているんだろう。
もう、顔をあげて視線を合わせる気にもなれなかった。
「はい……」
うつむいたままうなずく私。
「してみようか、恋」
「……!?」