身勝手な恋情【完結】

意地悪……。

わかってるくせに、私に言わせようとする蓮さん。

もう、この人には勝てない。

だったら私は、もう降参しつつ、やりたいようにやるしかない。



「――あのっ」



喉に張り付く声を必死で引きはがす。



「あの……!」



心臓が未だかつてないくらい跳ねて、息も上手に出来ない。



「こ、このシャツ! すぐに脱がないと風邪引いちゃうから――だから、私の、へ、部屋に来てください……」

「――そうだね」



彼のシャツをつかんで微動だにできない私に向かって、焦らすようにゆっくりと体を寄せてくる蓮さん。

そして彼の薄い唇が、そっと私のおでこ、前髪の生え際に押し付けられる。



「風邪引いちゃうから、早く脱がなきゃ……ね?」



< 104 / 469 >

この作品をシェア

pagetop