身勝手な恋情【完結】
意地悪……。
わかってるくせに、私に言わせようとする蓮さん。
もう、この人には勝てない。
だったら私は、もう降参しつつ、やりたいようにやるしかない。
「――あのっ」
喉に張り付く声を必死で引きはがす。
「あの……!」
心臓が未だかつてないくらい跳ねて、息も上手に出来ない。
「こ、このシャツ! すぐに脱がないと風邪引いちゃうから――だから、私の、へ、部屋に来てください……」
「――そうだね」
彼のシャツをつかんで微動だにできない私に向かって、焦らすようにゆっくりと体を寄せてくる蓮さん。
そして彼の薄い唇が、そっと私のおでこ、前髪の生え際に押し付けられる。
「風邪引いちゃうから、早く脱がなきゃ……ね?」