身勝手な恋情【完結】
――――……
シングルベッドの中から、彼が優雅なさまで煙草に火をつけるのを見ていた。
唇に煙草をくわえた蓮さんはすっと立ち上がるとベッドから離れ、乾燥機から白いシャツを取りだし、さらっと羽織りつつボタンを留める。
やっぱり帰る気なんだ……。
蓮さんは独身だけど、こうもさっさと帰られると、まるで既婚者との道ならぬ恋をしているようで、苦しい。
「――泊まっていきませんか? あの、朝ごはんも作りますし……」
朝まで一緒にいたいって……今までずっと言えなかった。だけど思いを伝えた今日なら言えると思った。
だから勇気を振り絞って、そう言ったのに、
「そのベッド、二人で寝るには狭いね」
と、つれない返事。