身勝手な恋情【完結】
今のって……もしかして……キス……?
おでこに、キス?
うそ……嬉しい……!!!!!
高鳴る胸。震える唇。
ゆっくりと目を開けると、もう蓮さんは私に背中を向けている。
そして彼の手には部屋のカギ。
指の先にひっかけて、くるりと回す。
「鍵、閉めて郵便受けに落としとくよ」
「あ……」
「お前は不用心で無防備だからね。おやすみ」
不用心で無防備というところを強調されて顔が赤くなる。
「す、すみません……おやすみなさい」
「ん」
振り返った彼は相変わらず人形のように端整で美しかったけれど
その唇はいつもよりもずっと優しく、微笑んでいるように見えた。