身勝手な恋情【完結】

「櫻さん、副社長がお呼びよ」

「え、あ、はいっ! わかりました!」



朝からずっと大量のDMの宛名シールの作成をしていた私。

同僚に声をかけられ、パーテーションの奥の祐さんのスペースへと向かう。


いちじくの葉をモチーフに、職人が糸鋸で手掘りしたというパーテーションは、特注品で高さが1メートル60センチ。

蓮さんはインテリアデザイナーだけれど、内装に限らず、家具も空間も、なんでもやる人だ。


そのセンスはなんというか、意表を突かれるというか、女心にたまらないと言うか……クールビューティーな本人とは裏腹にデコラティブ。そしてロマンティックだったりするんだよね。




「櫻です」


パーテーションの奥を覗き込むと、珍しく少し焦った様子の祐さんが、緩いくせっ毛の髪をくしゃくしゃしながらPCから私を見上げる。


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