身勝手な恋情【完結】
デスクの上は大量の資料で雪崩を起こしそうだった。
「――ああ、櫻さんちょっと頼まれてくれるかな」
「何をですか?」
祐さんが私に頼みごとなんて珍しい。
っていうかどうして私?
「あのねえ……」
祐さんはさらに口を開きかけて、周囲が気になったのか声を押さえる。
そしてちょい、ちょい、と私を手招きした。
「はい……?」
少し前かがみになった私に、祐さんがこっそりと引き出しの中から取り出した一通の封筒を差し出した。
「あのさ、櫻さん……ここ、行ってくれる?」
「え……?」