身勝手な恋情【完結】
カオル、タチバナ……
タチバナカオル……
あれ。どこかで聞いたことがある。
どこだっけ――
その瞬間、脳内に浮かび上がる一人の男。
「たっ――」
心臓が口から飛び出すかと思った。
あまりの驚きに一瞬目眩を起こしそうになり、手元にある招待状の存在すら疑った。
目を真ん丸にして硬直する私を見て、修行僧のような厳しい顔でうなずく祐さん。
「た、たすく、さんっ! こ、これ、これって……!」
「うん。RIBAゴールドメダル(王立英国建築家協会(Royal Institute of British Architects)から優れた建築家に与えられる)やプリツカー賞を受賞した、世界有数の建築家、あーんど、日本の誇り! 立花薫氏のパーティーだよっ……!」