身勝手な恋情【完結】
美女が花がほころぶように微笑む。
彼が自分の声を聞き入れてくれたことが嬉しくてたまらないと、そんな表情で。
「私を見て」
「――」
蓮さん。
見ないで――
いやだそんな……
嫉妬の炎で焼け焦げそうになる。
気がおかしくなりそうだ。
蓮さんが青みがかった三白眼をほんの少し細める。
あれは抑えきれない何かを必死に抑えようとする瞳。
私だけが知っていると思い込んでいた、そんな眼差しだ。