身勝手な恋情【完結】
「あ……ありがとうございます」
っていうか、なんでここに蓮さんが……。
なんでわざわざ荷物を……?
不思議に思いつつもとりあえずお礼を言って、ドアの前で蓮さんをぼーっと見上げる。
「――」
「――寒いんだけど。いつまでここで待たせるわけ?」
すると蓮さんが無言を通す私を見下ろし、憎々しげに眉根を寄せ強い口調で言い放つ。
言われてみれば、彼の美しい顔が、少し色気を失っているように見えて……ドキッとした。
いったいどのくらいここで私の帰りを待っていたんだろう?
まさか私が帰る時間を見計らって来たわけじゃないよね?
そんな、まさかね……。