身勝手な恋情【完結】

「蓮さん……あの、」



戸惑いながらも肩越しに振り返ろうとすると、

「そのまま……」

ぼそっとささやいて、蓮さんは私を抱きしめる腕に力を込める。



シン、と静まりかえる部屋。



ドキン――

ドキン――


自分の心臓の音だけが響いているような気がして、なんだかうまく息も出来ない。


どうしよう……

なんだかすっごく緊張しちゃうんだけど……




「あいつは……」

「え?」

「あいつのこと……今でも好きなの」



< 184 / 469 >

この作品をシェア

pagetop