身勝手な恋情【完結】
「蓮さん……あの、」
戸惑いながらも肩越しに振り返ろうとすると、
「そのまま……」
ぼそっとささやいて、蓮さんは私を抱きしめる腕に力を込める。
シン、と静まりかえる部屋。
ドキン――
ドキン――
自分の心臓の音だけが響いているような気がして、なんだかうまく息も出来ない。
どうしよう……
なんだかすっごく緊張しちゃうんだけど……
「あいつは……」
「え?」
「あいつのこと……今でも好きなの」