身勝手な恋情【完結】
蓮さんの問いかけは、恐ろしく小さな声だった。
だからなんだかよくわからなくて。
何をどう答えたら蓮さんに怒られなくて済むかわからなくて――
あいつって誰のこと?
いや、もしかして私に聞いてるんじゃなくて、これって蓮さんのなにか独り言的なもの?
答えないまま、じっと黙り込んでいたら
「――ムカつく……」
さらにぼそりと、小さな声。
どうやら王様はまだご機嫌斜めらしい。
「むかつくって……私、いったいどうしたら――」
呆れながらも、どうにかして振り返った瞬間、
「腹立つ。ムカつく。自分に……」
「え……? んっ……!」
覆いかぶさるように、蓮さんに唇を奪われていた。