身勝手な恋情【完結】
「――コーヒー飲みたい」
突然、脈絡なくぽつりとつぶやく蓮さん。
そしてその場に座り込む。
もう少しいてくれるんだ……。
「はい、わかりました。少し待っててくださいね」
ホッとしつつ、エアコンのスイッチを入れ、その場に蓮さんを残しキッチンへと向かった。
だけど蓮さん、いったいどうしたんだろう……。
どうして会いに来てくれたんだろう?
お湯を沸かしながら彼を盗み見る私。
たとえ無言でいても、彼の存在だけでなんだかすごく切なくて。
彼が私の部屋にまた来てくれたこと、その事実に余計な期待をしそうで、喉がぎゅっと詰まって、息苦しくなった瞬間
ケトルが鳴って、お湯が沸いたことを知らせる。