身勝手な恋情【完結】
ぶわっと涙があふれて。目の前にいるはずの蓮さんの顔が見えなくなった。
「っ……ひっくっ……」
こんなことで泣くなんて、最低だ。
慌ててゴシゴシとこぶしでまぶたをこすったけれど
せきを切ったように溢れ出た言葉も涙も止められなかった。
「くだらないこと言ってごめんなさい、ほんと、そのくらいの冗談で、別れるなんて変ですよね! 和明は冗談言ったんだってわかってるんですけど……!」
そう言いながら、ようやく自分でも理解できた。
蓮さんが言っていた『お前がいくら俺を好きだと言っても、明日の保証なんてまるでない』って、そういうことなんだ。
「本当、蓮さんの言うとおりですねっ……私、あの人のこと、勝手に好きになって、ちょっとした冗談で勝手に幻滅しちゃって……っ。……そういう私だから、私の好き、なんか、蓮さん、信用できないんですね、だから、好きが『軽い』ですよね、あ、そっか……」