身勝手な恋情【完結】
私がそういうスカスカの人間だって、蓮さんにはわかっていたんだ。
情けなかった。
そうか。
そうなんだ。
私に蓮さんを好きになる資格はなかったんだ。
透明な水に墨汁が落ちるように、黒い気持ちが波紋を描いて胸に広がる。
だけど――何がどうして、なんでこんな話になったんだっけ?
もうやだ。
苦しくて、吐きそうで――
「おい」
「蓮さん、ごめんなさ、わたしっ、わた、」
「おいっ!」
強く肩をつかまれて、蓮さんが叫ぶ。