身勝手な恋情【完結】
「っ……」
思わず息をのんでいた。
少年が美しい年上の女性に恋をするって……
やっぱりこれって――
蓮さんの話なの?
「少年と女性は年は一回り近く離れています。いくら思ったところで相手にされません。そして五年後、その女性は少年の本当の母親になってしまいました。
けれどその頃少年もまた、体だけは立派な『男』に成長していたのです。そして一途な思いはまっすぐに、正しくない方向に向かいました――。
そのうち女性も、少年の恋心にほだされたのか、少年の気持ちを受け入れるようになりました」
「そんな……」
蓮さんは、私の反応に自嘲するよう唇の端を持ち上げる。