身勝手な恋情【完結】
「けれど蜜月は長く続きませんでした。少年は父親から勘当され、家を出て行かざるをえなくなりました」
「――その……お母さんは?」
「今も父親と仲睦まじく暮らしています」
「え……?」
「少年に無理やり犯されたのだと、告げたからです」
「――」
「そして少年は、二度と人を信じるものかと……子供の感傷を捨てました。おしまい」
沈黙はどのくらい続いただろう……。
「じゃあ、あの立花さんのパーティーで……」
かすれる声で絞り出した私の問いかけに、
蓮さんは長い脚を片方だけ胸に引き寄せ、それから額を押し付ける。
彼がよくやるポーズ……。
まるでこれ以上傷つきたくないって、自分で自分を守ろうとしているようにも見える。