身勝手な恋情【完結】
「異常に若く見えるけどね。昔から変わらない……」
「――」
心臓が鼓動を早める。
やっぱりそうなんだ……。
間近でジロジロ見たわけじゃないけれど、まさか蓮さんより年上だとは思わなかった。
いわゆる美魔女ってやつなんだろうか……?
いや、違う。単純にきれいな人なんだ。
少年だった蓮さんが、好きになってもおかしくないくらいに――
蓮さんの感情を激しく揺さぶったあの人。嫉妬の目で見ているのは認めるけれど、それでもやっぱり、妙に蓮さんになれなれしく寄り添っていた。
今思えばあれは『好かれている自信』から来ている余裕だったのかもしれない。
根っこの部分で蓮さんが自分を拒めないとわかっている、そんな気持ちが透けて見えた。