身勝手な恋情【完結】
「――どういったご用件ですか?」
応対に立ったのは一番入口に近かった和美だった。
「高槻蓮に会いたいんですけど」
「高槻にですか……。高槻は外出しております」
「何時に戻られますか?」
「――えっと……」
和美ははきはきした様子で尋ねてくる彼女に若干戸惑いながらも、壁のホワイトボードに視線を向ける。
「四時に帰社予定です」
「では、それまで待たせてもらいます」
「え? あ、ちょっと!」
セーラー服の少女は、慌てる和美を置いて、ずいずいと事務所の中に入ってくると、応接間を発見してそのドアをいきなり開け中へと消える。