身勝手な恋情【完結】

でも……

『責任をとってもらいます!』

そう叫んだ可憐さんの悲痛な表情を思い浮かべれば、確かに蓮さんとの血の繋がりは否定できない。



「でも本当にあの子、蓮さんの……」

「まぁ、時期的におかしくないけど……あ、いまの忘れて」

「……はい」



せっかく近くに寄り添えたと思ったはずの蓮さんを、また遠くに感じる。


蓮さんを見失いそうで、怖いよ……。


のどの奥から熱いものがせりあがってくる。目の奥がじわっと涙でにじむ感覚がする。


だけどここで泣くわけにはいかない。

ここは仕事場で、蓮さんの会社だもの。


ぐっと唇をかみしめて、涙を引っ込めた。



「――じゃあ、失礼します」



祐さんにペコッと頭を下げてきびすを返し、足早に社長室を出る。


とにかく家に帰ろう。

もしかしたら蓮さんが待ってるかもしれない!



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