身勝手な恋情【完結】
そして――
急いで自分の部屋に戻ったのだけれど、案の定というかなんというか、ドアの前に蓮さんの姿はなかった。
がらんとした、寒々しい廊下で一人立ち尽くす私。
蓮さん、どこに行ったの……?
――――……
次の日、朝礼で祐さんは「社長は体調を崩した」とだけ告げた。
もしかして見つかった?と思ったけれど、やっぱり戻ってきてはいないらしい。
「この寒さだし、どっかで倒れられるよりも、適当な女のところにでも行ってくれてればいいけどね」
と苦笑する祐さんを見て、胸がチクッと痛くなる。
蓮さんの身の安全よりも、そんな人がいたらどうしようって考える自分が嫌で、死にたくなる。
恋って本当に身勝手だ。