身勝手な恋情【完結】
「雨、止みそうにないですね」
「そうだね」
私のあいづちにうなずきながら、草介さんはコーヒーのお代わりを注ぐ。
「傘、持ってる?」
「いえ……」
確かに天気は朝から曇り空だったけれど、天気予報では崩れるとはいっていなかった。
会社に戻れば置き傘があるけれど手元にはない。
だけど表通りに出ればコンビニがあるはずだ。
そう言うと、
「急に降り出した雨だもんね。コンビニでも売り切れてるかもしれないから、よかったら貸すよ」
「ありがとうございます。助かります」
「どういたしまして。また来てくれて嬉しいよ」
相変わらず泣きぼくろがセクシーな彼は、にっこりと笑ってまたカウンターの中へと戻っていく。