身勝手な恋情【完結】
頬杖をつき、ぼんやりとコーヒーを飲みながら外を眺める。
と、ノアに向かって一人の男性が近づいてくるのがわかった。
見上げるほどの長身をロングコートに包んだ、雰囲気からして端整な人。
あれって――
「いらっしゃい」
ノアに入ってきたその人に、草介さんがカウンターの中から微笑んだ。
「久しぶり」
なんとそれは、それはあの建築家、立花さんだった。
彼の視線が自分に向いた一瞬、ペコッと頭を下げると
「ああ、君も来ていたんだね」
と、にっこり微笑まれる。
お……覚えててもらえた!
光栄すぎる!