身勝手な恋情【完結】
嬉しくてその場でぴょんと跳ねたいくらい。
だけど彼の邪魔をしてはいけないよね。立花さん、ものすごい有名人だもん。
きっとここで静かにコーヒーを飲みたいに決まってるし。
会釈をしたあと、また窓の外に目線を向ける。
――――……
「で、断っちゃったんですか……?」
「ああ」
「もったいない。一ノ瀬邸のクリスマスパーティーって言えば、あれでしょ、夢の国みたいなものなんでしょう? 行ってみたいなぁ……」
「どうしても仕事の都合でね。草介君だってクリスマスは仕事だろう?」
「そりゃ、稼ぎ時ですからね」
楽しそうな二人の会話で、ふっと意識が戻る。
クリスマスかぁ……
ちょっと前まで、蓮さんとどう過ごそうかなんて浮かれていた自分が切ない。