身勝手な恋情【完結】
本物の、上品な色男の「愛してる」に、心臓が跳ねる。
いったいどんな相手なんだろう。
きっと素敵な女性なんだろうなぁ……。
ぽーっと、その声を聞いて固まる私に気付いた立花さんが、斜め後ろに立っていた私を発見して瞳を見開いた。
見つかってしまった……!
どうしよう!
逃げ出すのも謝るのも頭から吹っ飛んでしまってアワアワしていると
「――じゃあ、また連絡する」
立花さんはにっこり笑って、携帯を切った。
「すみません、盗み聞きするつもりじゃ!」
慌てて頭を下げる。
「気にしないで。相手は娘だから」
「む、娘さん……?」
てっきり奥様だと思ったのに。
驚く私。
電話の相手――愛してるの相手がまさか娘さんだったとは……。