身勝手な恋情【完結】
そっかぁ……娘さん。
娘――
脳裏に浮かぶのは、可憐さんの悲しげな顔。
そして蓮さん――
胸の奥がキリキリと痛くなる。
「あの……」
「ん?」
「娘さん、やっぱり可愛い、ですか……」
「え?」
戸惑う立花さんの声に、ハッと我を取り戻す。
「わ……わたし、」
なに言ってるんだろう……。
早く謝らなきゃって思うのに
頭が真っ白になる。
「君」
「ごめ、んな、さ……」
だけどもう限界だった。
一度緩んでしまった涙腺はあっけなく崩壊して――
ズキリと痛む胸を押さえながら、その場に崩れる。