身勝手な恋情【完結】
ああ……私のバカ。
だけど叱られてはいるんだけど、確かに心配されているのが伝わってくるから――
不安で、一人ぼっちが寂しい今、こんな紳士に優しくされるとなんだか嬉しくて、泣きそうだった。
「――ごめん。言い過ぎた。辛いのは君なのにね……」
そんなことない、と言う気持ちを込めて首を動かすと、立花さんは穏やかに微笑んで、私の肩に毛布を掛けてくれる。
でも、どうにもまぶたが重い……。
「たちばな、さ……」
「大丈夫だよ。安心して眠りなさい」
そして彼はパイプ椅子を壁際に寄せて、恐ろしく長い脚を組んで座る。
世界的建築家立花薫に見守られるとか……
恥ずかしいやら申し訳ないやらで眠れそうにないなんて思ったのだけれど。
私の意識はすぐに深い闇に落ちていた――。