身勝手な恋情【完結】
「っ……」
目を覚ますと見慣れない白い天井だった。
ここ、どこだっけ……
こめかみを伝って落ちた汗を指で拭い、ボーッとした状態で周囲を見回すと、壁際に座る立花さんに気付いた。
あ、そうだ。ここ、病院だ……。
胃カメラを飲んで、麻酔が切れるまで休んでいろって言われたんだ。
体の前で腕を組み、目を伏せている立花さん。
眠ってるのかな……。
暖房が効いているとはいえ、大丈夫だろうか。
ほんと、悪かったなぁ……。
ベッドから体を起こし「立花さん」と声を掛けると
「――ん」
彼は長いまつ毛をしばたたかせながら、ふっと笑って立ち上がった。