身勝手な恋情【完結】
「体は大丈夫?」
「はい、大丈夫です! あの、付き添ってくださってありがとうございましたっ! ちゃんとご飯食べますので、もう大丈夫です!」
「出来れば食事くらいつきあってあげたいんだけど、ごめん、このあと仕事なんだ」
「い、いえ、そんな」
立花さんが忙しい人だってことは百も承知。
病院まで付き合ってくださっただけで十分というか、もったいないというか……
「助かりました。ありがとうございました」
頭を下げる私を見て、彼は優雅に椅子から立ち上がり(彼が座っていたパイプ椅子ですら上等に見える)ドアノブに手をかけ肩越しに振り返る。
「――娘は可愛いかって、聞いたね」
「あ……」
「娘とは事情があって長く離れ離れだった」
「――」
「何物にも代えがたい存在だよ」