身勝手な恋情【完結】
やだ。どうしてだろう。
ずっと欲しかった蓮さんの言葉がどうしようもなく怖くて、涙があふれた。
「うそっ……」
涙はぼたぼたと蓮さんの上に落ちる。
「本当、どうしようもない泣き虫だね……」
蓮さんは呆れながらも、カットソーの袖口を伸ばし、私の頬をゴシゴシとぬぐう。
「だ、だって……! だって、蓮さんが、私のことを好きって言うなんて……!」
いくら一緒に時を過ごしても、こんなことあるはずないって思ってた。
「だって蓮さんって意地悪ですからっ……! 釣った魚に餌はやらないものだと……!」
「――お前、俺のことなんだって思ってるの」
う、怒らせた……。