身勝手な恋情【完結】
賢くないのは百も承知だけど、ちょっと反抗したくて唇を尖らせる私。
「――俺も、見習わなきゃだな」
蓮さんは本当に小さな声でささやいて――
「俺だってただの、男だよ……」
そうして私のこめかみにキスを落とした。
幸せすぎて怖いって、もしかしたらこういうことなのかもしれない。
そう、思ったのに――
次に目を覚ましたとき。
同じベッドの中に、蓮さんはそこにいなかった。
シーツを手のひらでなぞる。
確かにそこに蓮さんの熱は感じるのに……
いなかったんだ。