身勝手な恋情【完結】
「いや、よかったよ。あのまま知らん顔なんて、俺だってどうかと思ってたし」
「――」
可憐さんに蓮さんが会う。
もしかしたら親子かもしれない二人が、出会う……。
「あ。櫻さん心配してるの……? あの、もし、もしだよ? 二人がもし、親子だったとしてもその……そりゃ、なんてことないとは言い切れないけど、その、彼女は……人妻だし……今更蓮も――」
「あ、いえ……!」
慌てて首を横に振った。
恥ずかしい。
どうやら祐さんには、私の心配事まで見透かされていたみたい。
そう、もし可憐さんが娘だったら、それをきっかけにあの人との関係が変わるんじゃないかって考えちゃって――。