身勝手な恋情【完結】
なんとかやる気を絞り出して一日の仕事を終え、デスクの上を片づけていたら蓮さんがふらりと帰ってきた。
れ、蓮さん……!
一瞬動きが停止する。
とそこで、蓮さんはスタスタと私のほうへと向かってきて、
「ここで待ってて」
と無表情でささやいた。
「は、はいっ……!」
なんだか意味がわからないままも、こくこくとうなずく私。
そして蓮さんはくるりと私に背を向け、社長室へと入っていく。
蓮さん……
待ってて、だって。
彼が部屋から出てくるまで、心臓がドキドキしていた。
とりあえずちょっとだけ仕事が残っていたから、それをやりながら蓮さんを待つ。
「おさきー」
「お疲れ様ですー」