身勝手な恋情【完結】
――――……
蓮さんの住まいはマンションでもアパートでもなく、いわゆる事務所風のスペースだった。
だたっぴろいフロアの奥に大きなベッドが一つ。
そしてその周辺にテーブルや薬箪笥、屏風が絶妙なバランスで配置してある。
壁紙は薄い紫。家具の類は漆黒。
なんだか外国人が作った和洋折衷のお部屋みたい……。
蓮さんらしさで溢れている、可愛い部屋だった。
「冷蔵庫がない……」
「必要ないしね」
蓮さんはさらりと言って、皮のソファーに腰を下ろした。
「蓮さん、エアコンは?」
「ない」
「エアコンもないんですか……寒いし熱いし、大変ですね」
くすっと笑って彼の隣に腰を下ろすと同時に、蓮さんはころんと横たわって私の膝に頭を乗せる。
「寝に帰るだけだしね。困らない」
「このまま、ここで寝ちゃうんですか?」
「ん? 早く俺とベッドに入りたいってこと?」