身勝手な恋情【完結】
――――……
「もーっ、蓮さん、仕事人間なの~……今日も、朝まで帰らないって~っ……」
「へぇー。それは大変だねぇ」
「でも、仕事だから……」
完全にアルコールが回って酔っぱらっていた私。カウンターにべちゃっとつぶれて、ぼんやりとグラスを水滴が伝うのを眺めていた。
ノアの中は相変わらずワイワイと騒がしく、そのざわめきが今は心地いい。
「寂しくないって言ったら嘘になるけど、仕事をしてる蓮さんが好き、だし……
好きだから……イブを一緒に過ごさなくても、彼が仕事にまっすぐに向かえるなら、それでいい……」
ああ、にしても、まぶたが重い。
眠い……。
「――年中休みなく働いている男としては、羨ましいなぁ……。
だけどちょっと無防備すぎ。イケない気、起こしちゃいそうだよ……」
意味の分からない草介さんの言葉も最後まで聞き取れなくて――
そのまますうっと眠りに落ちてしまっていた。