身勝手な恋情【完結】
朝帰り……
タクシーに乗って消えた蓮さんのことを思い出すと、苦しい。
早く帰ってきて、蓮さん。
早く――
――――……
ギシッとベッドがきしむ音がした。
意識がふんわりと宙に浮かび始める。
と、その瞬間、頬に触れる柔らかい感触。
ちゅっ、と音がしたから、頬に落とされたそれが誰かさんのキスだってわかった。
蓮さん、キス……?
「ん……」
体を丸めていた私が身じろぎすると、
「メリークリスマス……」
と、ささやく蓮さん。
メリークリスマスって――やっぱり蓮さんだ!
朝を迎える前に彼が帰ってきてくれたことが嬉しくて目を覚ましかけたけれど、蓮さんから普段嗅いだことのない違う香りが漂ってきて
胸の奥がズキッと痛くなる。