身勝手な恋情【完結】
まともに立っていられず、ふらつく体を支えたのは、なんと社長だ。
私の肩に両手を置き、そのまま自分のほうへと引き寄せる。
背中を少し曲げて、私の耳元に顔を寄せ、ささやく。
「……なんか色々考えてたけど、やめた」
「しゃ、ちょう?」
「純情そうに見えて、俺とも寝るし、男とも揉めるし、お前はそういう女だ。だらしのない女なんだ」
「――ッ!」
社長の言葉に目の前がカッと赤くなる。
確かに社長と寝てしまったのは事実だ。
雲の上の憧れていた人に声を掛けられて、舞い上がってしまった。
だけどそれは、誰でもよかったんじゃなくて、社長だからだ。
社長だから――