身勝手な恋情【完結】
知寿さんだ。
そうだ。今まで知寿さんと一緒にいたんだ……。
気を許すと泣きそうで
案の定、タクシーに乗り込む前の二人の姿がフラッシュバックして、吐き気がした。
どうして知寿さんに触れた手で私に触れるの!?
部屋は真っ暗だ。
私がたぬき寝入りしていることなんてわかりっこない。
ぎゅうっと目をつぶって頬を枕に押し付ける。
「ひよ……ぐっすり眠ってるんだね」
蓮さんはそのまま私の頭を大きな手のひらで撫で、髪を指ですくう。
「寝てる女を一方的にやる趣味はないんだけど……」
そのまま顔中に降り注ぐキスの雨。
繊細な指先がパジャマのボタンを上から外していく。
「たまにはこういうのも、そそるね……」
前をすっかり開けられると、やっぱり寒い。
すると蓮さんの指先がなだめるように肌の上を滑っていく。
「すぐに温めてあげる……」